米マサチューセッツ工科大学 (MIT) の研究チームは、40Hzの光と音を用いた感覚刺激療法「GENUS」が、軽度アルツハイマー病患者の認知機能維持に寄与する可能性があるとの追跡調査結果を発表した。初期臨床試験参加者のうち 5 名が約 2 年間にわたり毎日 1 時間の刺激を継続。遅発性の女性患者 3 名において、認知機能の維持・改善に加え、脳波の応答性向上や概日リズムの改善が確認された。血漿中のバイオマーカーであるリン酸化タウタンパク質も 2 名で有意に減少(47% および 19.4%)した。
一方で、若年性アルツハイマー病の男性2名は刺激への脳波応答が低く、顕著な改善は見られなかった。研究チームは発症時期による病理的差異が応答性に影響している可能性を指摘。本結果は非侵襲的治療の長期的な有効性を示唆しており、現在は予防効果の検証を含む大規模試験が進行中である。
中国科学院昆明動物研究所の研究チームが、40Hz 音響刺激によるアルツハイマー病治療への応用について発表。高齢アカゲザル 9 頭を対象に 1 日 1 時間、1 週間の音響刺激を実施した結果、脳脊髄液中のアミロイドβ (Aβ42・Aβ40) 濃度が約 200% 上昇。効果は刺激終了後も 5 週間持続し、脳内からの病原性タンパク質排出促進が確認された。
同様の 40Hz 刺激効果は 2016 年に MIT がマウスで実証済みだが、今回初めてヒトに近い霊長類での有効性が証明された。非侵襲的な物理療法として期待が高まる。2050 年に世界 1.3 億人超と予測される認知症の新たな治療法開発に寄与する成果といえる。